本書のタイトルにもあるトークとは、相手と会話をすることです。
本書が示すトークとは挨拶程度の雑談は想定していません。
- 部下が言うことを聞いてくれない
- 言いたいことが相手に伝わらない
- もっと身の回りの人が味方になってほしい
こんな本質的な人間関係の悩みを解決するアドバイスをもらえます。
もちろん今日この場から全ての悩みが解決するわけではありませんが、
日常に潜む意識や行動を少しずつ変えることによって、
- 口うるさいお局様を味方につける
- 部下を自ら成長してくれる人に育てる
- 家事をしない旦那をコントロールできる
こんな「変わって欲しいけど変わってくれない人間関係の悩み」が解決するヒントになります。
もくじ
1.心の安全を忘れるな
マズローの欲求五段階説というのをご存知ですか?
引用元:https://ferret-plus.com/5369
ざっくりというと、人は一番下の生理的欲求を求めます。
生理的欲求が満たされる人が、だんだんと上の欲求を求めたがる、というのを現した図です。
つまりこれをたくさん満たしてあげると、
「この人は私の欲を満たしてくれる素敵な人だ」と相手に思わせることができます。
相手の欲をたくさん満たしてあげれば、自然と自分の元に人は集まってきます。
まず一番下の生理的欲求は、生命を維持するための欲です。
これは飯を食うとか寝るとかの部分なので、コミュニケーションで解決してあげられることはありません。
餓死寸前の人間は日本になかなか存在しないと思うので無視しましょう。
そして一番上の自己実現欲求も無視です。
己の中にある理想像を叶える欲なので、コミュニケーションではこの欲を満たすのは困難です。
重要なのは
- 承認欲求・・・他者から認められたい
- 社会的欲求・・・集団に属したい、他者と関わりたい
- 安全欲求・・・身の安全を守りたい
以上3点があなたが満たしてあげられる他人の欲求です。
見落としがちなのが安全欲求です。
身の安全とは文字通り「怪我をしない」「病気にならない」だけではなく、
「心の安全・安全」も意味に含まれます。
いくらセキュリティばっちりの家に住んでたとしても毎日職場で罵倒をされたり、SNSで叩かれる毎日ではこの欲は満たされません。
2.全て吐き出させろ
コミュニケーションの基本は「欲求を満たす」「心の安心を与える」ということがわかりました。
心の安心を与える際に注意すべきことは、
具体的に言いたいことを言う前に、「全て吐き出させること」です。
頭を整理しながら言いたいことを言うのは、よほど頭の回転が速い人でないとできません。
まして、思いつきの愚痴や不満を言っている人ならなおさらです。
相手の安心感を満たすためにすべきことは
- 絶対に否定しない
- 最後まで話を聞く
この2点です。
不満の言うなの水で満たされたコップには他人のアドバイスという水は入っていきません。
とにかく吐き出させることが先決です。
全て吐き出させたら、こちらのアドバイスはもはやいらないくらいです。
そのための具体的にすべきことは、否定せずに話を聞き、
最後に「まだ何かあるんじゃない?」とさらに追い討ちをかけるように誘導することです。
それを何回か繰り返すと、相手は本当に最後の最後まで自分の気持ちを絞り出してくれます。
相手が言いたいことを言い尽くすまで待つのではありません。
こちらから絞り出してあげるのです。
3.悪口は言わない
「当たり前だろ」という感じはするのですが、もちろん当たり前です。
口を開けば人の文句や愚痴を言う人が、人に安心感を与えられるはずがありません。
悪口を言わないようにするには、改めてじっくりと「なぜ悪口を言ってはいけないのか」と言うことを考えてみましょう。
私の場合は
- 悪口ばかり言う人は単純にカッコ悪い
- 「この人は私のいないところで私の陰口も言っているんだろうな」と思って傷つく
- 批判は時間の無駄
このような理由が挙げられました。
安心はコミュニケーションをしていくうちに与えるものですが、
「悪口を言わない安心感」も人に与えられる安心の一つです。
そして私はどうしても他人の陰口に巻き込まれそうになったら、
「褒めの陰口」を言うようにしました。
「あの人全然仕事しないと思わない?」 →でも休憩中にいつもコーヒー奢ってくれますよ →二人になると結構仕事観とか暑いこと言ってますよ →よく休憩室で色んな人と話してるので、部署外の知り合いが多くて羨ましいです
4.人柄にフォーカスしろ
そして褒めるときに意識することは「行動よりも人柄・存在を褒めよ」です。
NG それは素晴らしい行いだね OK そんなことをするなんて、君は素晴らしい人だね
ここで言いたいのは、褒めることで相手をコントロールせよではなく、
「日頃から人間性を認めることによって、いざと言うときに私のアドバイスを聞いてもらいやすくする」
と言うことです。
なので普段のコミュニケーションでも行ったアクションを褒めるのではなく、
アクションをした人間性そのものを褒めるという、「大きく褒める」と言うことを意識して褒めるようにしています。
5.プラスに誘導せよ
相手が凹んでいる時は、プラスの方向に誘導してあげましょう。
人間は質問されることによってある程度無理矢理にでも答えを導き出そうとします。
相手の愚痴や不満をひとしきり聞いた後に、
- なんかラッキーだったことはある?
- 次はどうしたら防げるかな?
- 今から何かリカバリーするために今から動けることはある?
などと、ほんの少しでもポジティブに考え出せるような質問を投げてあげましょう。
6.まとめ
アドラー心理学によると、人間の悩みは全て人間関係に起因すると言われています。
神のトーク力、ひいては神の考え方を身につけて、全ての人間関係の問題をいい方向に向かわせましょう。
・・・とは言いつつも正直なところ、相手が変わるかはほとんど自分では関与できません。
他人の考えや行動を変えようなんて、少々おこがましいことです。
この本で紹介されているのもあくまで
- 自分で考えてもらう「きっかけの与え方」
- 人の心を動かす「伝え方」
- 「自分の想い」を伝える方法
などの自分の内にある方法が主な内容です。
どうしても相性の悪い人間というのは存在します。
「この本に書いてあったことを全て試したけど、この人とはやっぱり考え方が合わないや」
と思う割り切りも時には必要なのではないでしょうか。
7.紹介できなかった気になるキーワード
- 異なる意見の相手とも同調できる「魔法の言葉」
- 相手のことを「相手以上に」理解するために
- 今後「人に命令しない」と覚悟を決める
- 会話で相手がどうなるかのゴールイメージを持つ