【映画感想】ヴェノム【キャラは好き。設定はハテナ】

なるほどね

なるほどね

「【映画感想】ヴェノム【キャラは好き。設定はハテナ】」のアイキャッチ画像

世界で一番有名なヒーロー、スパイダーマンの敵キャラとしても知られる『ヴェノム』。

彼が単体映画になりました。


悪役が主役になる映画として、『ジョーカー』が記憶に新しいです。

同じように今ならAmazonプライムビデオで見ることができます。

ちょっと酷評しますが、気になる方は是非見てみてください。

もくじ

◯あらすじ

敏腕記者エディ・ブロックは、人体実験で死者をだしているという<ライフ財団>の真相を追う中、<シンビオート>と呼ばれる地球外生命体を発見し接触してしまう。

この意思を持った生命体との接触により、エディの体は寄生され、その声が聞こえるようになる。

「一つになれば、俺たちはなんだってできる」とシンビオートはエディの体を蝕み、このまま彼の乗り物となることを受け入れれば、強大なパワーを与えるという取引を持ちかける。

エディは肉体の変化に困惑しながらも、その力に少しずつ魅入られていく――。

「俺たちは―――ヴェノムだ」こうして、”最悪”の存在、ヴェノムが誕生した!

Amazon『ヴェノム(字幕版)』

◯好きな点

・ヒップホップな音楽

物語最序盤で流れていたヒップホップ調の音楽は良かったです。

ヴェノムのダーティなキャラクターと合っていました。

もっと映画全体でも使えば良かったのにと感じます。

ただそれを差し引いても、トータルの映画音楽は良かったです。

特に映画を邪魔することなく、世界観にハマった音楽でした。

・主人公のキャラクター性

映画では登場人物に共感できないと、なかなか映画に入り込むことはできません。

そこいくと本作の主人公はとても魅力的です。


主人公エディ・ブロックは売れっ子の記者でした。

しかし、己の正義感ゆえ、余計なことに首を突っ込んでしまいます。

そしてそのせいで仕事と婚約者を失ってしまいます。


彼自身は何もかも失ってしまったところから始まります。

全てを失って少し自暴自棄にはなりますが、

彼本来持ち合わせている、正義感は失っていません。

そのかわいそうだけど真のある感じが、

かなり共感しやすいのではないでしょうか。


そしてもう一人の主人公である、ヴェノムもまた魅力的です。

ヴェノムというのは本来スパイダーマンの敵キャラです。

映画序盤も生きている魚を丸ごと食い、

銃で打たれて暴れ、そして人も食ってしまいます。


まるでジョーカーのような、主人公がゴリゴリの悪役になるかと思いきや、

終盤では人を食うことを我慢し、

主人公と軽口を叩き合うようになります。

人間界を気に入って主人公と共存するようになります。


かわいいですね。

居心地がいいから、そしてエディ・ブロックに迷惑をかけないように、

無限の食欲を我慢することになります。


ビジュアルとしても巨悪っぽいキャラとして現れたヴェノムが、

後半はかわいらしさを出して、かなり身近なキャラに変わっていきます。

この両主人公に感情移入のしやすさが、ヴェノムという映画の大きな魅力の一つだと思います。

◯嫌いな点

・CG感がある

当たり前ですがヴェノムという生物は存在しないので、

ガッツリとCGを使っています。


CGを使うこと自体は特に否定しません。

実写で表せないものを見ることができるのはほんとうにすばらしいです。


しかし本作品を見ていると、明らかにCG臭いシーンが多くあり、

そのシーンでは映画から気持ちが離れてしまいました。


20年前からとにかく、

マーベル映画をはじめ、さまざまな映画でクオリティの高いCGを見ることができます。

それらの素晴らしい映画に比べ、本作ではちょっとCGに関してはイマイチでした。


特にヴェノムがエディ・ブロックに寄生する前の状態が、ものすごくCGでした。

主人公であるヴェノムがCGに見えてしまうというのは、

ちょっと現代においては大きな違和感です。

・アクションシーンはイマイチ

ヴェノムはアクション映画なので、多くのアクションシーンがあります。

ヴェノム対警察、エディ対的組織、カーチェイス等々、、、

それらのシーンは正直イマイチだと感じました。


ヴェノムというのは結構サイズがでかいです。

成人男性の2倍近くあります。

そのでかいヴェノムを、結構アップで戦闘させています。

アクションがアップだと、細かい動きがよくわかりません。

極端なことを言うと、ヴェノムが殴っているのか殴られているのかもわからないシーンが多くありました。

アップにするだけでなく、変にカメラをブレさせたり、1秒に満たない短いカット割をしたり、

とにかく全体としてアクションシーンの細かい部分がよくわかりませんでした。


アクションをする上で上記の撮影技法をするのは否定しません。

アクションに迫力を加えるため、飽きさせないため、

カット割やアップを使うのは絶対に必要です。


けれども本作のアクションシーンはそれらを多用しすぎて、

「結局よくわからなかったな」という印象しか残りませんでした。

・ヴェノムは共生しているのか支配しているのかよくわからん

ヴェノムはエディに寄生しています。

寄生獣のミギーと同じようなものです。

寄生はしているのですが、彼らの関係性が映画の前半と後半で違うような気がします。

映画前半ではヴェノムがエディの体を支配しています。

エディの体のまま、生魚を食べたり水槽に飛び込んだりしています。

けれども中盤から、ヴェノム自身の黒い体でないと、体を操作できていないような描写があります。


また、映画前半では、エディが死ぬとヴェノムも死ぬから、

ヴェノムはエディを死なせたくないと言います。

けれども映画後半でエディが死にかけると、ヴェノムはエディの体に入り込んで助けます。

宿主が死ぬとヴェノムも死んでしまうのであれば、

その行動は少々リスクが高すぎるのではないかと思ってしまいます。


中盤ではヴェノムが「エディ、お前のことが気に入った」

と言っていますが、別に彼がエディを気にいるエピソードは特に描かれなかったと思い、

少々そのセリフが唐突に感じました。

◯まとめ

全体的に描写不足、そして説明不足感を否めませんでした。

もしかしたら原作に詳しい人にはハマるのかもしれませんが、

私はコアに詳しくないので、わかりにくかったのかもしれません。


それでも今後MCUのスパイダーマンと合流する、そしてスタン・リーをまた画面で見られたのはワクワクします。


両主人公をはじめとした、登場人物全体としてはかなり魅力的です。

しかし、その魅力的な登場人物を、うまく動かしきれていなかったなというのが私の感想です。

アクション映画なのにアクションが魅力的ではないので、

正直、どこの層にオススメすればいいのかはよくわかりません。


けれどもアメコミが好きな方、そして今後はMCUのスパイダーマンと合流するかもしれないので、

私のようなMCUファンの方は見ておいてもいいのではないでしょうか。