【書評】ゴミ人間【人は知らないものを嫌う】

なるほどね

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本書はキングコング西野亮廣さんの著書です。

前著の「革命のファンファーレ」は『絵本「えんとつ町のプペル」』の広告的側面もありました。

3年後に出版された本書では、『映画「えんとつ町のプペル」』の広告にもなっています。

また新たな西野さんの考え方を勉強することができたので、

本書で得られた新たな学びをシェアしていきます。

もくじ

1.殴っていいと思われている人間、西野

世間では西野亮廣さんの評価はどうなのでしょうか。

  • テレビに出られないから絵本作家に逃げた
  • オンラインサロンをして信者から金を巻き上げている
  • 自己顕示欲の塊
https://suki-kira.com/people/result/%E8%A5%BF%E9%87%8E%E4%BA%AE%E5%BB%A3

これは凹むなーと思います。

今でこそこんな声は少しおさまってきたと思いますが、

なんでここまで叩かれているのでしょうか?

本書で西野さんはこう分析しています。

人はいつも、自分が知らないものを嫌います。

そして三作の絵本がヒットしたあと、

西野さんはプペルの作成中にこう思います。

僕の頭の中のえんとつ町には色がついている

けれども僕にはそれを再現する能力がない

絵本も分業して描こう

西野さんは絵本を分業させることに決めましたが、世間がそれを許しません。

「作家性が薄れる」

「絵本は一人で描け」

さっきまで「芸人が絵本を描くな」って言ってたじゃん!

世間なんてそんなものです。

挑戦者を叩き、自分の知らないものを認めようとしないのです。

最初から目標を持ち、折れないチャレンジャーだけが結果を残し続けるのです。


西野さんは「世界中のプロの絵本作家に勝つ」という芯があるからこそ、

手段を選ばず、淡々と目標に進むことができるのです。

https://r25.jp/article/581356883170827173

2.期待に追いつこうとする強さ

本書の中ではご自身を応援してくれた人として、博多大吉さんのエピソードをあげています。

絵本作家としてはまだ無名だった頃、ご自身の30万円の絵

を大吉さんが購入しました。

西野「え?これ買うんですか?」

大吉「西野くんの絵を30万円で買えるチャンスは、これが最後で、まもなくキミは世間に見つかって、キミの絵は買えなくなる。」

大吉「得をしているのは僕の方だよ。」

西野さんは大吉さんの期待を裏切らぬよう、努力を重ねて未来を現実にします。

私は誰の期待を裏切りたくないのか、すごく考えさせられました。

親?彼女?100人くらいしかいないTwitterのフォロワーさん?

3.もてなされるだけでは満足できない現代人

最近の西野さんの活動の中で、「映画プペルの前売りチケットを販売できる権利」というものがありました。

一部では「やりがい搾取」と叩かれていました。

西野さんはこのような理由で、販売する権利を販売したと言っております。

どうやらお客さんは発信したがっている。

理由は、まずSNSでしょう。皆、「いいね」が欲しいし、「フォロワー数」を増やしたい。

こうなってくると、「〇〇のイベントに行ってきました」というツイートよりも、

「〇〇のイベントは私が作りました」というツイートが欲しくなってきます。

昔は発信者と受信者がしっかり分かれていました。

「テレビに出る人」と「視聴者」の壁を壊すのは非常に大変です。


しかし現代では誰でもインスタグラムやYouTubeに投稿できます。

「 YouTuber」と「視聴者」の壁はあってないようなものです。

面白い情報、珍しい考え、希少な画・・・


人類総クリエイターである現代、フォロワーを伸ばしたい人のニーズをしっかりとキャッチし、

その場を提供できる力がある。

この発想力と実行力と資金力は、まだまだ普通の発信者にはできない行動だと思います。


従来の「レストラン型」のビジネスではなく、

「BBQ型」とも呼べる、参加型の新しいビジネスモデルの一つなのではないでしょうか。

4.選んだ道を正解にする

映画の総指揮を取ることとなった西野さん。

「リーダーはしたことがないので勉強中」とおっしゃっていましたが、

絵本の指揮やサロン運営での経験は、確実に生きています。

僕がリーダーであるために心掛けていることは次の2つ。

・全員の意見に耳を傾けて、最後は独裁する。

・正解を選ぶのではなく、選んだ道を正解にする。

独裁の反対は民主制です。つまり多数決です。

多数決を取ると表向きは穏便にことは運びます。


けれどももし失敗した場合、100%リーダーの責任でしょうか?

「多数決とっただろ?お前らのいう通りにしたら失敗したじゃん」

という言い訳が通ります。


もしも先のわからない2本道があったときには、重要なのは目的地にたどり着くことです。

選んだ道が目的地につながっていなければ、

リーダーが先頭を歩き、道なき道を進めばいいのです。


無事目的地に辿り着いたとき、最終的にメンバーが言うことは

「一時はどうなることかと思ったけど、藪を歩いていくのも楽しかったね」

多分こんな感じです。


多少反対派のメンバーも、リーダーの熱意が結果に結びつけば、

次の目的地には大人しくついてきてくれます。

間違いなく西野さんはリーダーの資質を持っている人です。

5.感想

前著の「革命のファンファーレ」は西野さんのアイディアが詰め込まれた、

とてもワクワクするおもちゃ箱のようでした。


それに対して本作は、一つのストーリーになっている小説のようでした。

西野さんがテレビを降りて絵本作家に転身し、

泥に塗れながら映画を完成させるまでの物語のようです。


前作同様に西野さんの面白い気づきは詰まっていながら、

同時に西野さんが泥臭くもがいている様子も描写されており、非常に読み応えのある一冊です。


本書を読む際は「ビジネス書だから何かを学ばなくては」と、身構えなくても大丈夫です。

もちろん学びはたくさんある本ですが、

「サクッと読める小説だな〜」ぐらいの感覚でも非常に楽しむことができます。


人は知らないものを嫌う性質があります。

自分の知らない情報や技術、価値観が現れたとき、新しいものを素直に受け入れられるでしょうか。

私にはまだまだ、それらを完全に受け入れられる度量がありません。

今は新しい知識が増えていく自分を楽しみ、早く自分の無知を認められる自分になりたいです。