【書評】スタンフォード式最高の睡眠【日本人よ、もっと寝ろ】

なるほどね

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あなたは十分な睡眠を取れていますか?

日本人は睡眠を犠牲にして労働することが大好きです。

それよりも夜ぐっすり寝て、シャッキリとした頭で仕事をする方が効率的です。

本書を読んで科学的に睡眠を解剖し、

効率よく質の高い睡眠を手に入れましょう。

もくじ

1.こんな人にオススメ

  • 質の高い睡眠を確保したい
  • ベッドに入ったらすぐに眠りたい
  • 寝溜めをしないとやってられない

2.日本人は眠らない

日本人は寝るのが嫌いです。

睡眠の重要性をわかっていないとも言えます。


日本人の平均睡眠時間は6.5時間というデータがあるそうです。

これは100カ国を対象にした調査で、最下位の数字です。

平均7.5時間睡眠をとっているアメリカ人によると、

6時間未満の睡眠は短時間睡眠と認定されます。

もともと日本人が短期睡眠が得意な民族なら良いのですが、

1960年代と比べても、平均睡眠時間は年々減少し続けているデータもあります。


3.睡眠不足ではなく、睡眠負債

研究者の間では「睡眠不足」ではなく、「睡眠負債」と表現されます。

40分の睡眠負債を抱えている人は、

その負債を返すのに、毎日14時間睡眠を3週間続けなくてはいけないそうです。


睡眠負債が貯まると、マイクロスリープという、

1-10秒程度の短期的な眠りを引き起こす場合があります。

これは見た目にはわからないし、自覚症状もありません。

日中、パソコンの前でマイクロスリープに陥るなら大した影響はないかもしれません。

でもこれが

  • 運転中なら?
  • 商談中なら?
  • 揚げ物をしているときに子供が近づいてきたら?

自覚がないだけで、睡眠負債を抱えている人は、

確実に1-10秒の短い眠りに陥っているのです。

借金同様、睡眠も不足が溜まって返済が滞ると、

首が回らなくなり、しまいには脳も体も思うようにならない「眠りの自己破産」を引きおこす

4.90分の黄金法則

睡眠の質は最初の90分で決まります。

人間は深い睡眠と浅い睡眠を繰り返すことがわかっており、

この深い睡眠のことをノンレム睡眠といいます。


要は寝始めの90分に訪れる、

最初の90分をいかにしっかり眠るかが、睡眠全体の質を高めてくれます。

睡眠の研究をするときにも、この90分をしっかり寝られないと、

その後のデータは使い物にならなくなるそうです。


寝る時間がないなら、最初の90分だけでもしっかり寝ろというのが本書にも書いてある教えです。

たとえば、どうしても書き上げなくてはいけない企画書があるのであれば、

眠くなったら素直に寝てしまい、

90分経ったら起きて続きを仕上げる。といった具合です。


ただ勘違いしないで欲しいのは、

この考え方は「Better than nothing」ということです。

つまり、「寝ないよりは寝た方がいい」ということです。

あくまで苦肉の策としてお考えください。

睡眠の質を高めるのはもはや義務

5.体温と脳の睡眠スイッチ

最初の90分の質を高めるため、寝る前の体温を意識しましょう。


人間は日中の皮膚温度(手足の温度)が低く、夜間に高くなります。

深部温度(体の内部の温度)は逆です。

日中高くて夜間に低くなります。

子供が眠くなると、手足が温かくなるのはこういうことなのでしょう。

この皮膚温度と深部温度の差を縮めてあげると、深い睡眠を得やすくなります。


具体的には就寝90分前の入浴がいいそうです。

入浴後、一度上がった深部体温は90分後に下がり始めます。


ただ個人的に、私は帰宅後すぐにお風呂に入る派です。

そんな人は寝る前の足湯も効果的だといいます。

寝る直前は軽く足湯をしながら本でも読めば、

いい睡眠への導入になるのではないでしょうか。

6.寝る直前は眠くない

「寝たいときに寝られない」

という悩みはよく聞きます。

国民病の一つかもしれません。


しかしある実験によると、『寝る前が一番眠りにくい』というデータが取れています。

具体的にいうと、通常入眠に入る2時間くらい前だそうです。

つまり、「明日は早いから、1時間早く寝るぞ」というのは、

かなり難しいことなのです。


じゃあ朝早く起きるのはどうしたらいいか?

  • 通常通り寝て、早く起きる
  • いつもより1時間早く入浴を済ませ、ストレッチや軽い運動で作為的に体温を上げる

この2点が有効だと本書では書かれています。


いつもより早い時間に布団に入り、

「眠れない。不眠症だ。」というのは少し判断が早いです。

早く寝たければ寝る直前に準備するのではなく、

1日の始まりから寝るための環境を整えるのがいいのでしょう。

「後ろにずらすのは簡単、前にずらすのは困難」これが睡眠の性格なのだ。

7.そのほかの気になるキーワード

  • 「ショートスリーパー」は遺伝だった
  • 眠らない女性はどんどん太る
  • 「見たい夢」は見られるのか?
  • 「よく眠れる人」と「眠れない人」の差はわずか2分
  • なぜ「夜以外」も眠たくなるのか
  • アメリカ人が会議で眠気に襲われないわけ

7.不眠症が治る本ではない

本書の中に、「不眠症」という単語はひとつもありませんでした。


読んでいくうちに気がついたのですが、

本書は「不眠症を治す本」というわけではなく、

「起きている時間を快適に過ごすため、快適に寝ましょ」

ということを軸にしているのだと思いました。


つまり、睡眠自体に障害を抱えている人は、

残念ながら本書の対象外となります。


私は元々不眠症でした。

それがきっかけとなり、うつ病を発症した時代もあります。


もし過去の私と同じ悩みを抱えている方がいたら、

勇気を出してお医者さんに足を運び、

適切な処方箋をもらってください。


ある程度寝られるようになったら、

ぜひ本書を手にとってみてください。

不眠症をある程度克服してからは、

この本は大変参考になる一冊です。


睡眠にしかできない、これだけのこと

9.感想

スタンフォード式の名の通り、かなりエビデンスがしっかりした本でした。

どれもこれも実験データによるものを参照にしており、

「原因→理由」の柱がしっかりしています。

かなり説得力のある内容なので、読んでいて印象に残り方が違います。


睡眠に関することなので、

全ての人にためになる知識です。

勉強しても、決して無駄になる内容ではありません。

ぜひ本書を読んで、質の高い睡眠生活を送り、

心身ともに健康に生きる人生の入り口に立ってみてください。

睡眠を犠牲にして働くのはやめよう。

特に、あなたがクリエイティブな仕事をしたいのなら。